
Departure 通常盤
HYCK- 10001
Release 2002.4.10
Price 1,575- (TAX IN)
Liner Notes
記念すべきデビューアルバムである。
大げさな言い方をしてしまえば、21世紀に入って全ての音楽を聴く人に最も強烈なインパクトを与えたデビュー作がこれかもしれない。
2001年9月沖縄限定先行発売。5万枚が瞬く間に姿を消し、噂を呼んで広まっていった。東京のレコード会社のほぼ全社が沖縄に足を運んだという。その多くが上京して活動拠点を移すことを勧める中で彼らが選んだのは沖縄から離れないという自分たちなりのやり方だった。
みずみずしいアルバムだ。まっすぐで伸びやかで大らかに広がってゆく。ロックもラップもポップスも男性と女性のボーカルもこんな風に無理なく消化した自然体の満ちたデビューアルバムがあっただろうか。
収録されている7曲すべてに彼らの心情がほとばしっている。今も欠かせない代表曲である「ホワイトビーチ」や「Ocean」の空と海にとけ込むような透明な光と溢れる想い。99年に作ったという「革命」や「兼久商店」に詰め込まれた狂おしいほどの若さ。自然と一体になったような「ソテツ」のメッセージは、都会のバンドでは絶対に歌えないだろう。英語で歌われる「My Life」のポップさは、90年代の日本のバンドの影響も感じさせる。「旅立ち」が中三の時に書かれた最初のオリジナルと聞いてその完成度に愕然とした人も多いはずだ。
90年代の終わりに登場したミクスチャーと呼ばれる音楽はラップやDJなどのヒップホップのスタイルを織り込んだロックだ。「革命」にも“ヒップホップロード”という言葉が登場する。アルバムの帯にも「屋慶名、具志川出身のミクスチャーバンド!!」と紹介されていた。音楽のスタイルだけでは括れないHYならではのミクスチャー性、いや沖縄ならではの“チャンプルーロック”を感じさせるのがこのアルバムでもある。
レコーディングには東京の関係者もいわゆるプロのスタッフも加わっていない。それこそ機材のセッテイングから自分たちで行う。ストリートでやっていたようにだ。誰もが生まれ育った場所に感性がはぐくまれる。沖縄だったからこそ生まれたアルバムと断言して良いのだと思う。「沖縄発!世界に先駆け先行発売!!」。帯にはそんなキャッチフレーズが踊っていた。
すべてはここから始まった。
まさに出発だった。
